理事長ごあいさつ

福岡県肢体不自由児協会理事長藤井敏男の写真です。

    

 公益財団法人 福岡県肢体不自由児協会

    前(第4代)理事長  藤 井 敏 男

  (社会福祉法人佐賀整肢学園 糸島こどもとおとなのクリニック 院長

     元福岡市立こども病院副院長)

福岡県肢体不自由児協会は九州大学整形外科名誉教授、故天児民和先生が提唱され、1954年(昭和29年)12月に九州ではじめての肢体不自由児協会として福岡県、北九州市、福岡市、九州大学整形外科、日本赤十字社、朝日新聞厚生文化事業団、西日本新聞民生事業団を始め、多くの方々のご協力とご支援のもとに発足し、福岡県の在宅の肢体不自由児の幸せのために療育事業や一般県民の方々への啓発活動などを行って参りました。

 

 「この子らを世の光に」という言葉があります。これは「社会福祉の父」と讃えられている滋賀県大津市の障害児施設の近江学園を創設された糸賀一雄氏が述べられたものですが、私は1969年に整形外科医になってからこの言葉に感銘を受け、大切にしている言葉です。これは、「この子らに」社会から福祉の光を当てるのではなくて、「この子らを」社会の先頭に立つ存在として意義付けて行こう、という発想で、常識の転換を促しています。障害を持つこども達に対する医療や療育の基本哲学を体現している言葉であり、まさに本協会の歩んできた道を示しているものです。

  

私は整形外科医として、九州大学、福岡市立こども病院、佐賀整肢学園と50年にわたりこども達の医療、療育にかかわってきましたが、その間当協会がお世話しているこども達の病気が変遷してきました。当協会発足初期はポリオの後遺症のこども達が多く、海のキャンプでは自分で歩いて海にはいれる子供が多かったのですが、最近は体幹を含めて全身に障がいがあり自分では移動が困難な脳性まひのこども達が増えたために、手助けとして毎年50名を超える福岡教育大学の学生達にボランティアとして協力していただいています。

 

 ところが3年前からのコロナの流行の影響で、感染リスクを避けるために療育キャンプ事業はすべて中止しており、残念ながら子どもたちや家族の方々に夢を届けることが出来ておりません。そのために、学生ボランティアも活動中止になり、先輩たちから後輩への知識の継続性が失われてしまいました。

  現在、令和5年のキャンプ事業再開に向けて事務局スタッフ一同努力をしていますので、今後とも皆様の一層のご協力、ご支援をお願い申し上げます。

 

  なお、本協会の英語表記は2011年に従来の“Crippled”から”Challenged”に変更しています。この単語は単なる肢体不自由よりもっと広く障がいを包括している単語で、現在協会がお世話しているこども達の病状により即した表現です。

(令和5年1月)